第1プログラムの目的・
”人財”育成の考え方・育成方針

01 第1

背景 -はじめに-

新型コロナウイルス感染症の流行により、世界規模で“人や経済が動かなくなる”状況に直面しています。
そのため、新型コロナウイルスと共存するWithコロナ期において、新しい生活様式を取り入れた新しい観光のあり方を見直し、
やがて来たるAfterコロナ期に利益や価値を生み出す”人財”を育成する必要があります。

現在は誰も経験したことのないVUCA注)の時代に突入しているため、過去に答えがありません。
そのような今の時代を生き抜くためには、新しい次元で価値を生み出せるメソッドや知恵が必要になります。

そこで、VUCAの時代を切り拓いていくための新しい”人財”育成モデルとして最新ファシリテーションメソッドを取り入れ、
自分たちの“あり方や想いの源泉”を探究し、各地域や関係企業のありたい未来をビジョン化し、自ら主体的にアクションを起こし、
周囲を巻き込んでいくことができる地域リーダーを育てることを目的に、”人財”育成プログラムを実施します。

  • 注)VUCAとは、ビジネスや市場等におけるさまざまな不安定要素を示す4つの言葉
    Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取ったもので、ブーカと呼ばれる。

『みらいをつくる』
観光共創イニシアティブについて

既存の役割や組織の垣根を超え、異なる背景や組織、立場をもった人が、一体となった“場“を形成し、
実現したい地域や観光の未来、新たな価値を共に創造していくことを目指し、
本事業の通称を「『みらいをつくる』観光共創イニシアティブ」としました。

02 第1

事業目的

変革の時代の、
未来を創造する”人財”の育成

外部環境の複雑性が増大し、グローバル化やIT化などで変化が加速化したことにより、
経営層や専門家によるトップダウン型で組織の変革を分析的計画的に取り組んでも期待した成果を生み出すことが難しい時代になっています。
そのため、「この変革の時代を生き抜く、柔軟な思考様式を持った未来を創造する”人財”の育成を目的としています。

高度成長期時代の人材像

従順で、勤勉、専門性が高い人

高度成長期は、経営陣だけが下記のレベル4~6を備えていれば経済成長した時代。トップダウン型の組織で、「計画的変革プロセス」を踏み、受け身かつ疲弊感が伴いがち。

変革の時代の“人財”像

主体性、創造性、情熱をもって行動する人

主体性(課題に対しすぐ行動を起こす)、創造性をもち、仕事を使命、社会をよい方向に変える手段と捉える姿勢がある。実現するまで創造し続ける「生成的変革プロセス」型。

能力のピラミッド
レベル6:
情熱
レベル5:
創造性
レベル4:
主体性
レベル3:
専門性
レベル2:
勤勉
レベル1:
従順

出典:ゲイリー・ハメル (2008)​『経営の未来』日本経済新聞出版

これを実現するため、
以下の4つの柱に基づき、本事業を展開します

  1. 成長型マインドセット
    の醸成
  2. 生成的変革
    プロセス
  3. 成功の
    循環モデル
  4. ポジティブ
    アプローチ
03 第1

「変革の時代の、未来を創造する
”人財”」の育成の考え方

成長型マインドセット
(信念、心のあり方)の育成

成長型マインドセットを育むことで、失敗を恐れず学びを楽しみ、他人の評価よりも自身の向上に関心を向けるプラスの循環を生み出す”人財”を育成

マインドセットとは、元々心理学の用語で「生まれながらに持つ性格/受けてきた教育/経験/先入観/時代背景などから作られた物の見方、価値観、判断基準、信念、思い込み」等さまざまな要素から構成される思考様式を指します。また、プラスの循環を生み出す「成長型マインドセット」を持つ人は、チャレンジ精神旺盛な思考様式となり成長が促進されやすく、またそれが周囲にも伝播するとされています。 ミドルマネジメント層や地域のリーダー層の”人財”育成を目指す本事業は、「成長型マインドセット」の醸成を最重要事項とし、最初に取組みます。意識を転換していくために、従来型の教わるプログラムではなく、「生成的変革プロセス」を通じた、対話型のワークショップを実施します。

関係の質 思考の質 行動の質 結果の質
出典: Daniel H. Kim (2002). Organizing for Learning, Singapore: Cobee Trading Company.

「生成的変革プロセス」
デザインの実施

「生成的変革プロセス」
の重要ポイント

「生成的変革プロセス」では、組織メンバーの集合的学習と自律的な行動により、新しい知識や環境を作り出し、変化を生み出すことを重視し、具体的には、組織全体でオープンなコミュニケーションが行われること、共創行動がとれること、そしてメンバーの主体性を引き出し、高い当事者意識を獲得することを目指します。 左の図は「成功の循環モデル」といわれるもので、MIT組織学習センター共同創始者ダニエル・H・キムが提唱しました。この循環は、「関係の質」を高めるところから始めると好循環を生みだしますが、結果だけ性急に求め「結果の質」を向上させようとすると、組織の疲弊感ややらされ感等を誘発して、成果に結びつかない悪循環を作り出します。 「生成的変革プロセス」では、成功の循環の「関係の質」を高めること、それによって「思考の質」を高め、さらに「行動の質」を高めていくという好循環を生み出すことを目指します。

04 第1

“人財”育成方針

  • 自分たちのあり様や存在意味を探求し、そこから取り組みを創造していくことや、実現するまで創造し続けられる思考パターンを持つ変革に強い”人財”を育成します
  • 成功の好循環を生み出せる成長型マインドセットを育み、「生成型変革プロセス」や「ポジティブアプローチ」を用いられる”人財”を育成します
  • 既存の役割や組織の垣根を超え、実現したい地域や観光の未来、新たな価値を共に創造しようとする共創マインドの獲得を基本とした”人財”を育成します
  • 新型コロナウイルスによる観光・旅行のあり方の変化、社会の変化に合わせたビジネスモデルの変革を推進する”人財”を育成します